贋作師は斯く語りきα

ファンアートとは祈りを伴う贋作である。非腐非夢のSNS難民による漫画感想絵日記。無断転載/トレス/画像保存/自作発言/AI学習/等禁止。Reproducing all or any part of the contents is prohibited.Don't link.Preview only.

【絵】アンデッドアンラック14巻感想1/3【ビリタチ編】

My Sweetie

たまたまこの絵描いてたら3/14ホワイトデーにぶつかったのでちょうどいいタイミングでした。

”sweetie”には甘い食べ物の他に愛しい人という意味がありますのでまさにこのシーンにうってつけだと思ってタイトルにしました。

eow.alc.co.jp

 

【すでに15巻出てるのに今更14巻感想かよ!】

すまない。勉強や仕事や日常の雑事やら色々忙しい。アンデラは普段ですら密度が濃くて消化するのに時間かかるというのに14巻の密度はダンチでエグすぎる…。多忙の身で内容を咀嚼するのは時間がかかった。本当は早く雑誌派に復帰してみんなとワイワイしたいのだがそこは私も大人だ、我慢すべきときはしなければならない。

 

【14巻を3部構成で感想書くわけ】

どうやって14巻を語ろうか…と逡巡した。この14巻をざっと見るとニコイチコ、ビリタチ、そしてヴィクジュイの3カップル(家族)の話の3部構成となっている。実際14巻表紙を見れば一目瞭然。

だから私もニコイチコとビリタチ、ヴィクジュイという3つの軸で分けて感想を書いてみようと思う。順番的にはニコイチコが第一弾であるべきなのだがごめん…。急いで絵を描いた都合上ビリタチから感想やるね…。ヴィクジュイは実は14巻読む前から何気なく描いてた一枚があったからそれを使う。ヴィクジュイはトリに持っていきたい。あとはニコイチコをこれから描かねばならない…

 

【ビリーが離反した真の理由に寂寥を感じる】

率直に言うと「ああ、アンデラって少年漫画になってしまったんだな」と謎の寂寥感を感じた。

アンデラ界隈で私が尊敬している絵描きさんがいる。超初期(読み切りから)アンデラを応援なさっている方。絵もすばらしいが普段のアンデラとは関係ないことについての発言も学ぶべきことが多いので私の絵描きとしての憧れ。(私は絵とは自分の哲学を可視化するものだと思っているので中身のなさそうな絵は例え技術がうまくても興味ないんだ…。)その方がアンデラは青年漫画性の要素が強いとかつて発言なさっていた。読み切りに感じた青年漫画性に強く惹かれたとのこと。

そう、私もアンデラには少年漫画じゃないなと思うところをよく感じていたのでその発言に強烈に同意。その少年漫画らしくなさが顕著に表れたのがビリーの離反。あれだけタチアナとのほのぼのエピソードを打ち立てておきながらタチアナの親愛をぶった切る。まったく少年漫画らしくない無慈悲な展開。回りがショックを受ける中私は狂喜乱舞した。

 

長いあいだビリーは裏切り者に徹していたが最後の最後でビリーが偽善者ならぬ偽悪者だったことが明らかにされて、結局おじさま本当はいい人だったという映画版ジャイアン理論、こども向け性善説で終わるのか…とちょっと寂寥を感じた。

アンデラ初期に漂っていた強烈な青年漫画性はアンデラが少年誌で連載レースで生き残っていく上で薄れていった。アンディは初期はあんなに善悪混沌としてるダークヒーローだったのに今は見た目がいかついだけのキラキラした正統派スパダリヒーローと化している。

大衆向け漫画雑誌でまったくもってB層向けでない作品を連載しているその曲芸ぶりに魅力を感じて私も応援していた節があるのだが、まぁもうその時ではないのだなと実感させられた。

 

【ビリーのこの言葉が刺さる!】

『キサマのような神に媚びる事しかできぬ臆病者に貸す手はない』

『俺が手を貸すのは理に抗う者だけだ。』

 

ここ!ここに痺れたよ!このビリーの発言には読者へのメッセージが込められているとそう思わないかね諸君?君たちがピンと来ないのだったらしょうがねえ、私だけに対するメッセージだと錯覚してやるから!私がアニメ化記念に戸塚先生に書いたファンレターを貼っておく。できればこの記事を読んでほしい。

eine-ainee.hatenablog.com

上記記事セルフ引用。

【理不尽を疑え】

〜(省略)〜この世界が我々に強いる理不尽な理。

まずその理を解明するための自然科学的思考は必要ですが、理の解明だけで満足してはいけない。科学的事実とやらは時に不都合かつ残酷で、個人を救済するとは限らないからです。

不都合な真実を明らかにすることと、不都合な真実を受け入れることはまったく区別されることです。不都合理不尽なルールを押し付ける存在がいたら―もしそれが神だとしても―神や自然の定めた理だからと思考停止で従うのではなく抵抗したっていいわけです。既存の宗教の神が決めたルールが現代にそぐわなかったらその神を否定したっていいのです。最後にどう決めるかは我々一人ひとりの手にゆだねられていて、今の理不尽な世界を変えるため行動することの大切さもアンデラは教えてくれる。

 

この下線部を見よ!もう一度私は繰り返す。理不尽なルールを強いる支配者には、たとえそれが神であっても抗え!言いつけを守らなければ地獄に堕とす神など神ではない。神の従順な羊なんかでテメェの大切な人生終わっていいのかよ?万が一私達が神の被造物であったとしても知るか。テメェという人生の主人公はお前なんだ!お前が人生のルールを決めてそのルールを全身全霊で守るんだよ!

 

本当の自由とは自分がルールを決めてそれを遵守することなのだ!

eine-ainee.hatenablog.com

そうだよなぁ?!戸塚先生!戸塚先生がアンデラに込めたこの令和の人間讃歌を私は肯定するぞ!後に続くぞ!

 

昨今カルト問題が世間を賑やかにしている。カルトマネーとズブズブだった権力者が撃たれた。某新興宗教の教祖が突然死した。元宗教二世芸人が親元のカルト打倒を掲げて市議会議員に当選した。これは「大いなる流れ」が来ているな、という感じがする。アンシャンレジームをブチ破る時代の流れにアンデラは選ばれたのだ。アンデラがジャンプで今連載している意味はまさにそれなのだ。

 

(とっても私はおかしいことを言っているね、神を否定してやると言った口で「大いなる流れ」とスピ発言している。仮に現代人が神を否定して決別する流れすら本当の神の意図だとしたらどうだろう…?私たちがいくらカミコロ!と叫んだところで、それすらも「お釈迦さまの掌の上」なのかもしれないね。実は私はかつてTwitterで「神は否定者たちに自分を殺させようとしているのでは?」と予想ツイートしたのだが、それが的中したw多分アンデラ哲学勢としては私はけっこういい線ついているのだと思う。)

 

【タチアナの「大好きな友達」と「大好きな家族」】

幸せってなんだろう…。

本来こんな幼い女の子が滅びを前にしていること自体がおかしい。君は客観的にいえば「不幸」なんだ、自分は死ぬというのにどうして笑顔でいられる?私は東日本大震災のときに3日間だけだけど小さな地獄を見た。家族は死んでないし自分の荷物しか流されてないし盗まれてないから実際に大切な人を亡くした方々に比べれば痛みはない。それでも足元まで迫ってくる水に狂いそうだった。先輩達に最後の食べ物を盗まれた。JJIが毛布略奪しに別の先輩を襲撃した。一生忘れられない経験をした。

なぜ君は笑顔でいられるの?

 

結局極限状況に於いては幸せというものは自分が決めるものなんだ。

もちろんこの意見が客観的に苦しい立場の人間に「幸せは自分次第♫」だなんて言ってその苦境に満足しろと言い聞かせる気持ち悪い洗脳の理屈に使われたくない。

そうではなく、「幸せ」の理(ルール)だって最後の最後は自分が決めることに意味があると私は言いたい。神や他人が決めるんじゃない。神や教祖様、あるいは「普通」教や「常識」教の信者が決めた幸福の定義ではなく自分が理(ルール)を決める、そしてそれを守り通すーそれが真の自由なんだ。

 

このループでは残念ながら世界は滅ぶ。世界は無慈悲に滅ぶ。ビリーもタチアナも死ぬ。痛いだろう、苦しいだろう。だが幸せは自分が決めた、その点については神に勝ったのだ。

 

また会える、魂は「不滅」だから。「来世」のタチアナが「今世」のタチアナと同一であるかは問題ない。極限的に言えば0は∞であり、∞は0だから。すべては因果でつながっているのだから。

 

一応大学で哲学かじってた人間としてはアンディが見つけた「魂は不滅」というルールは西洋哲学的に言えばプラトン主義、東洋哲学的に言えば仏教の色即是空で説明できると信じてるがもう3,500字行きそうだから説明無理。どこかの機会で深堀できるといいね。

 

さて、ニコイチコ描かないと(震え声)

eine-ainee.hatenablog.com

 

eine-ainee.hatenablog.com