【ハクジャの魅力は懊悩と葛藤】
ハクジャさんを描くのはこれで2回目。
本当はたくさん語りたいのだが、勉強等スケジュールが逼迫しているので軽く言及するにとどめます。
このキャラの魅力はヴィラン側に立たざるを得ない自身に対して懊悩していたところにあると思うんだ。
【ある日突然、君はヴィラン】
皆が皆好き好んでヴィランになるわけじゃない。ライオンだって好きで羊を襲うわけではない。襲わないと自分が死ぬからだ。
勿論、他者の生き血を吸うのに躊躇する個体より躊躇ない個体のほうが生存に有利で子孫をどんどん残すので他人を犠牲にして自分が繁栄することにあまり躊躇いのない者のほうが実際多いと思う。
誰もが自分は手を汚さずにきれいに生きたい、健康に楽に生きたい、日の当たる道を歩きたい、そう思うもんだろう。でもこの世界の真実は一切皆苦であって、奪うか奪われるかという構造はどこかに隠れている。常に生存競争がある。(もっというと自分がきれいで健康に美しく生きたいから代わりに誰かが犠牲になってほしい、自分が負担すべき苦労を誰かに代わりにやらせて自分はのうのうと生きたいと思うものなのだ。)
その中で本当は清く生きたいのに仕方なくヴィラン側に立たざるを得ない人もいるだろう。その可能性は誰にだってある。もちろん運よく自分が正義側に立てたとき、もしヴィラン側が攻めてきたら遠慮なく打ち滅ぼさなくてはならないけれど。
【私たちは誰かを搾取して生きている】
ハクジャさんは無辜の人間の血の上に自分が存命していることに葛藤しているけれど、それは『ハクジャさんかわいそー』で済ませてしまっていいことなのかな?私たちには関係ない?ハクジャさんかわいそうだけど所詮は他人事ってことで次の瞬間忘れておしまい?
私たちにだって似たようなことが言えるじゃないか。過去の人たちの特攻と奴隷労働の上に今の社会制度やインフラがある。現代だって私たちは誰かを搾取している。YouTubeで美容系インフルエンサーが『激安ファストファッション爆買いw』とかやってるけれど、激安ファストファッションは発展途上国の人に安い賃金で働かせて作らせたもの。シー〇ンが激安で商品を提供できるのはウイ〇ル人奴隷を使っているからという噂あり。あと特定の通販サイトやブランドを紹介しているのは大概案件だから気を付けてね!
(念のため言っておくがそういう商品を使うなと言ってるんじゃない。モノの価値、ありがたみ、背景を知った上で使うことは無自覚でバカのように浪費するよりナンボかマシさ。)
人間を搾取するとかろうじて問題視されるのだが、もっと言うと他の生き物は?私たちは毎日生きるために誰かを殺している。豚、牛、馬、鶏、そして植物も。
最近は平気で食べ物粗末にする人種増えたよな。いただきますもごちそうさまも言わない。食料自給率20パーセントの日本が最大のフードロス大国。食べ物のありがたみを教えてくれる『はだしのゲン』を小学校から撤去したのは失敗だったな。自分の業を忘れてよくもまぁ自分は無垢だ、自分には価値があると思って生きておりますこと、とよく感じる。
私たちは生きるだけで業が深い、はっきり言って地上でもっとも害悪な存在なのだが(それがキリスト教的には原罪とよばれたりする)皆その事実を見ないことにしている。そして忘れてしまう。
生まれつき他者を犠牲にすることに躊躇のない者や開き直る者が自分がイノセントだと信じて疑わない一方、自分の抱える業を忘れないで十字架抱えて自分の道を模索している人こそ魅力を感じるのではないかな?
自分の業を忘れてしまったり正当化してしまった結果、正義側に属していると錯覚している人間によく似たチンパンよりも、自分の業を見つめて葛藤しているヴィラン側のハクジャさんのほうがずっと人間の尊厳を感じる。悩んでこそ人間なんだ。そういう意味を絵に込めました。だから『懺悔』というタイトルなのです。
追記:1/16アクセス数3600